2010年3月2日火曜日

2010.3.1 Manual Therapy 2007. Advice for the management of low back pain: A systematic review of randmised controlled trials

要旨
腰痛患者に対するアドバイスの効果、その内容と頻度の妥当性、急性期、亜急性期、慢性期におけるアドバイスの方法の比較についてのエビデンスについてまとめてみた。これはアドバイスについてのRCTのsystematic
reviewである。QUOROMガイドラインとCochrane collaboration back review group
guidelineを完全に網羅した。”high”
,"middle"に当てはまるような高いエビデンスレベルのものを抽出し、そのinclusion criteria
が少なくとも50%を超えるようなものを選んだ。効果判定には基礎となる5つのものを選んだ。痛み、就業困難、腰痛特有の機能、健康状態とそのケアにたいする満足度である。56編のRCTが方法論的な質を満たし、うち39編,7347人の患者がその適応基準に一致した。
慢性腰痛について、運動の補助的なアドバイスがもっとも痛みを改善し、腰痛特有の機能を改善し、就業をより容易にした。しかし急性の腰痛では活動性を保ちなさいというアドバイスと変わらない結果であった。亜急性期の腰痛に対しては腰痛学級のような方法でのアプローチがもっとも効果的であった。
急性腰痛に対するトライアルの15%がpositiveな結果であり、亜急性期または慢性期の腰痛は86%、74%であった。
さまざまな結果の測定方法が用いられており、治療同士の比較をすることは困難であった。腰痛に対するアドバイスはその罹患期間ごとでさまざまなものであった。今回のレビューではっきりしたことはこの領域で更なる研究が必要であるということである。
活動性を保つように指導することは急性腰痛に対して重要であるが今回のRCTではそれをはっきりと推奨する根拠にはかけていた。亜急性期の腰痛に対してどのようなアドバイスをどの頻度でかければよいのかということについても結論が出なかった。腰痛学級の一部としてアドバイスが用いられているという前提があったからである。
亜急性期の症状に対して治療が有効であったのは慢性化への伸展に直接影響したからであろう。これらの結果は腰痛の原因に対する教育や考え方の変化がこれらの患者の軍において有効に作用すると言うことが分かる。慢性期の腰痛に対しては活動性を保ちながら適切な運動をするようにすることが必要であると言う強いエビデンスが示された。自己管理が重要である。また腰痛に対するアドバイスの効果についてもさらなる研究が必要である。

考察
この研究は腰痛に対するアドバイスの有効性についてまとめた初めてのsystematic
reviewである。アドバイスの内容、頻度についても言及している。急性腰痛、亜急性期、慢性期の腰痛の3つのグループに分けて考えている。エビデンスレベルが中から高の39編の論文に基づいて検討した。22/39(56%)でアドバイス自体が有効であるとされ、21/22でその有効性がフォロー中も有効であると示された。一方、介入は一定しておらず、とくにその頻度と内容については全く一定していなかった。そこで急性期、亜急性期、慢性期に分けてそのアドバイスの違いについて調べてみた。このレビューはUKの腰痛ガイドラインとほぼエビデンスレベルが同じ程度である。
・アドバイスのタイプ
急性腰痛と慢性の腰痛は全く違うものと認識されているにも関わらずこのレビューで採用したRCTでは運動の補助としてアドバイスが用いられていた。現在のガイドラインでは急性腰痛に対する特別な運動は勧められていない。なんとかやれる範囲の活動を保つようにアドバイスすることが勧められている。このレビューの結果はガイドラインで言われていることを補完するものである。筆者は活動性を保つようにすることが特別な運動に加えてアドバイスを加えることの方が優れていると事を主張するのではない。急性腰痛の管理に関連した参考文献の上にこれらの患者では活動性を保っておけばそれで十分であると言う事をこのレビューでは述べたいのである。なので”The
back book”に記載されているように急性腰痛の患者はいかにして自分の活動性を保ち、またどのような方法でその活動性を保てばよいのか、どうしてそれが重要なのかと言う事を急性腰痛の患者に伝え、むやみに恐れることなくまた慢性化しないにはどうすべきかを知って置く必要がある。
これと比べると亜急性期の腰痛患者に対する腰痛学級の試み(運動とアドバイスを与える方法)はより好ましいものである。すべての研究で前向きな成果が得られた。機能保持と行動学的アプローチも亜急性期、慢性期の腰痛に用いた。全体の86%で有用で、フォローアップ率は100%であった。これらから言えることは亜急性期の腰痛患者に対しては機能保持のアプローチや腰痛学級といった方法が有用であると言うことである。しかしどれくらいの頻度でそのアドバイスを与えればよいかと言うことについては明らかにならなかった。もっと質の高い研究が必要であろう。
動ける範囲で動きなさいという単純なアプローチは慢性期の腰痛患者ではほとんど用いられることはない。運動に関すること、機能保持に関連したことなどなど動ける範囲で動きなさいというアドバイスに付け加えて何かしらのコメントが必要となる。これは長期間にわたって罹患しているために様々な見方が反映していることが考えられる。しかしなぜ慢性の腰痛患者には腰痛学級があまり用いられないのかは明らかでない。これは今回のレビューで腰痛学級の数が少なく除外されていることが考えられる。それゆえに質の高い腰痛学級は機能保持や運動のようなその他の介入と比較しても必要とされている。なのでそのような腰痛学級の標準化されたプログラムが必要とされる。
・腰痛のアドバイスの頻度
亜急性期の腰痛患者においてはフォローアップのおバイスはそれほど効果のあるものでっはなかった。これに対して慢性の腰痛患者ではフォローアップでリフレッシュするようなプログラムを組むと好ましい結果が得られることがわかった。しかしこの結果はひとつのRCTから得られたものであった。もし慢性の腰痛患者で長期にわたるアドバイスが良い結果につながっているとしたらそれを補完する研究が必要である。
・アウトカムの測定
活動性がどの程度保たれているか、社会活動への参加状況はどうかと言ったことがアウトカムとして測定されている。この場合腰痛患者の状態が少し改善してもそのimpairmentの程度には反映しない。身体の代替性は健康状態を反映しているとは言い難い。実情にあったアウトカム測定方法が望まれる
・このレビューの限界
公表されているバイアスが掛かっている。公表されているものは好ましい結果を得たものが多いのでそのために前向きな結果が出ているあ農政がある。またその研究のサイズをあまり検証しないようなカウント方法を用いたと言う問題もある。家庭医によって普段から腰痛についてのアドバイスを受けている群は普通に内科の診察だけを受けている群よりも上手に腰痛に対応ができる。これは家庭医によるアドバイスがより臨床的に重要な役割を果たしていると言うことを示しているのかもしれない。

結論
慢性腰痛患者ではアドバイス有効であった。どのようなアドバイスがよいのか、どれくらいの頻度でアドバイスをかければよいかと言う事については特定することは難しかった。
急性腰痛の患者に対しては活動性を維持するように伝えるだけで十分であった。慢性の腰痛患者では運動にアドバイスをつけ加えると言う方法が有効であるという強いエビデンスが得られた。そのアドバイスは自己管理に関するアドバイスが有効であり、ただ単に活動性を保ちなさいと言うアドバイスだけでは不十分であることがわかった。亜急性期の腰痛患者についてはより質の高い研究が必要であり、腰痛学級の指導内容の標準化が必要であると考えられた。慢性腰痛患者でのそのアウトカムの質を評価するためのツールが必要であることもわかった。

《論評》
結論に述べられていることがすべてです。

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