2010年4月15日木曜日

2010.4.15 JBJS(Am) Maintenance of Hardware After Early Postoperative Infection Following Fracture Internal Fixation

要旨
背景
観血的骨接合術術後の感染成立は臨床上のジレンマを引き起こす。その解決方法について手助けになるような文献には乏しい。術後6週以内の急性の術後感染に対して内固定材をのこしたまま骨癒合を得られるようにするためにはどうしたらよいかと言う事について研究した。
方法
レベル1外傷センターの患者121例。術後6週以内に術後感染を起こした患者(123感染例)。内固定材を抜去せずに骨癒合を得た例を調査し、骨癒合が得られるようなパラメーターについて調査した。
結果
87例(71%)でデブリードマン、内固定材の再固定、抗生剤の投与で骨癒合が得られた。骨癒合が失敗した要素としては開放骨折であることと、髄内釘を使用したことであった。喫煙歴、緑膿菌感染、骨折部位は有意差がなかった。
考察
骨癒合が得られるまで、デブリードマン、内固定材の再固定、抗生剤使用で治療することが可能である。個々の患者に対してインプラントなどを考慮しながら治療を行うことが必要である。

考察
観血的骨接合術後の術後感染で再固定すべきか抜去するかと言うことについて述べられた文献は殆どない。この話題について述べられた文献はいくつかあるものの、術後6週以内の急性感染について述べられたものはない。内固定材をそのままにして置くか、抜去するかが最も重要である。以前の研究では69例についてちょうさされ、喫煙が最も重要な因子であった。この結果は我々も似たようなものであった。違いは6週以内の症例を対象にしているため内固定材を留置したままにするかそれとも抜去するかを決定することを重要視した。また、より骨癒合を厳格に判断した。内固定材を抜去の後に全例で骨癒合が得られたためこれは内固定材が原因となっている感染であると判断した。
今回の仮説は急性期感染であれば内固定材の抜去を行わなくてもデブリードマン、抗生剤投与で感染の沈静化が可能であるというものであったが、けっかとして71%で骨癒合が得られた。第二の検証項目は抜去するかどうかの判断の材料とする要素について検討した。この検討では開放骨折であることと髄内釘が用いられていることが抜去を考慮する方がよいと言うように有意差が得られた。喫煙しているかどうか、骨折の部位などは有意差が得られなかった。他の文献では喫煙歴、感染した金が緑膿菌であることは危険因子である、ということがいわれている。
また髄内釘ではどうしても還流などでも十分洗浄しきれない部分が出るため感染しやすい。
この研究の限界はひとつは後ろ向き研究であること、もうひとつが抜去の基準がしっかりと決まっておらず術者の判断によって内固定材の抜去が行われたことである。
DMの患者は症例数が少なくてはっきりしなかったが、骨癒合不全、感染の危険因子として一般によく知られている。
結論として観血的骨接合術の患者の早期術後感染では内固定材の抜去をすることなく骨癒合が得られる場合がおおい。今までに上げたような危険因子を有するような場合には抜去をした方が無難である。

<論評>
骨接合術後の感染ではインプラントの緩みがなければプレートはそのまま留置可能であろう、とする論文。なかなか感染部に異物を留置するのは度胸がいりますね。

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