2010年11月1日月曜日

20101101 JBJS(Am) What' new orthopaedic trauma open fracture wound management and infection

デブリードマンを開始する時間が遅くなればなるほど開放骨折の感染率が上がる、というのはいまだに議論されている。LEAPの調査結果によると受傷から手術開始までの時間は感染成立の予測因子とはなりえないことが分かっている。しかしながら受傷から外傷センターに搬送されるまでの時間は感染成立の重要な因子となっている。しかしこのことは開放骨折のときに緊急にデブリードマンをしなくてもよいということを言いたいわけではない。本研究の中で対象となった患者達はその全身状態に応じて可能な限り与えられるべきだけの治療がなされた上で評価がなされている。なのでコントロール群として人手や施設を理由とした”遅れた”デブリードマンが行われた症例はない。同じ理由で早くデブリードマンをすると感染率が下がるということを本研究で言うこともできない。

VAC療法(Vacuum assisted closure)は、特に有用であるという報告がなされないまま、開放骨折に対して一般的に用いられるようになってきた。Stannardらは、重度の開放骨折に対して最終的な創部閉鎖を行うまでの期間をランダムに、陰圧療法と生食ガーゼ群に分け比較してみた。その感染率は陰圧療法群が5.4%で、生食ガーゼ群が28%であった。またSF36でもこの2群には有意な差が認められた。VAC療法は今後有用な治療となりうる可能性がある。

糖尿病は骨折手術のリスクファクターとして認識されている。Karunakar and Staples は110人の外傷患者でストレスによって惹起された高血糖の影響について検討している。この研究では肺炎を含め、25%の患者で感染の成立が認められた。 hyperglycemic index が3以上の患者の64%で感染が成立した。( hyperglycemic index が3以下の患者では21%であった。)。ストレスによって惹起される高血糖は感染のリスクファクターとなる可能性が示唆された。今後はこの高血糖を是正することで感染率が低下するかどうかを検討する必要がある。

偽関節を見た場合には感染の可能性を考えなければならない。偽関節の患者で血液検査、コロイドスキャン、術中の凍結検体のフォローを行った研究がある。偽関節の患者の31.6%が感染によるものであった。コロイドスキャンの感度は19%に過ぎなかった。白血球数、血沈、CRPの上昇はそれぞれ感染成立の陽性尤度比の上昇に帰しており、3つの項目すべてで上昇がみられた時の陽性尤度比は100%であった。これらから考えると、感染の危険が高い患者に対しては血液検査と術中凍結標本の提出が必要であることがわかる。

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