2011年2月3日木曜日

20110202 JBJS(Am) Earky effect of resident work-hour restrictions on patient safety: A systematic review and plea for improved studies

abstract
背景
研修医の労働が週80時間に制限されてから、労働時間を削減することについてのさまざまな議論が行われてきた。労働時間を制限することの目的は長時間の労働をしない事で、医療ミスを予防し、また患者に対しておこる有害事象を防いだり、死亡率を下げたりすることができるのではないか、ということで始まった。しかしながら現在のところ労働時間の制限をおこなうことが医学上、または特に整形外科にかぎっても助けになったかどうかということは明らかにされていない。今回のsystematic reviewは労働時間を制限することが患者の死亡率、医療事故の防止、合併症の減少につながっているかということを検証することである。
方法
患者中心のアウトカムの改善や、医療者のミス、死亡率や合併症の発生について検討した報告をもとにsystematic reviewを行った。
結果
労働時間の制限前と後で患者の死亡率を比べると、そのオッズ比は1.12倍で制限前の方が高かった。この差には様々な要素が関わっている。このデータ上では術前後の合併症についてのデータが規制前と後で混在してしまっている。また、直接の医療事故の報告はほとんどなかった。臨床研修施設と比べてみると臨床研修施設の方が規制前後での死亡率の変化は小さかった。
考察
労働時間の制限を行うことで患者の死亡率については減少することが分かった。臨床研修施設での死亡率の変化は有意ではなかった。この理由は不明である。患者死亡率についての報告もなかった。結局労働時間の制限をすることがその目的を達成しているかは不明である。量依存で死亡率が変化するかを見なければならないし、さらに労働時間を制限することが有効であるかを検討しなければならない。

<論評>
アメリカでは研修医の就業時間制限(週80時間)が制度化され、かの国でもその是非が問われているようです。
整形外科領域では以前時間外手術で細かな合併症が増える、という報告がありました。
死亡率をアウトカムとすると整形外科疾患そのものが生き死にに直結しにくいと言うところもあり差が出なかったのかなあと感じています。
大きな病院で深夜遅く働いていらっしゃる先生もこういったデータを出して、国内で報告し続けることが重要でないかと思います。

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