2011年10月19日水曜日

20111019 JBJS(Am) A prospective RCT Comparing OT w/ independent exercises after volar plate fixation of a fracture of distal parts of radius

橈骨遠位端骨折術後にOccupational therapy(OT)によるリハビリと自分でリハビリを行った場合を比較したRCT

Abstract
橈骨遠位端骨折術後のOTの関与によるリハビリの効果ははっきりとしていない。今回はOTにリハビリを依頼した群と自律でリハビリを行った2群に分けて比較を行った。

方法
不安定型橈骨遠位端骨折に対して掌側ロッキングプレートにて手術治療を行った94例。OTによるリハビリ群と自律リハビリ群の2群に分けて6か月後の手関節機能を評価。評価項目は掌背屈の覚悟、握力、Gartland and Werleyのスコア、Mayoの手関節機能評価、DASHスコアを用いた。

結果
掌背屈でOTによるリハビリ群で118度、自律リハビリ群で129度と有意な差を認めた。術後3か月の時点で平均ピンチ力、握力、Gatland and Werleyのスコアでも自律リハビリ群が有意に良好な成績であった。術後6か月の時点で背屈、尺屈、回外、握力が自律リハビリ群で良好であった。DASHスコアでは差を認めなかった。

結論
橈骨遠位端骨折に対して掌側ロッキングプレートを用いた症例に対してOTによるリハビリは効果が見込めない。

考察
橈骨遠位端骨折術後の患者にOTによるリハビリテーションをおこなってもあまり有効でない、という結論となった。これは橈骨遠位端骨折の保存的治療を行われた患者でも同様の結論が前に報告されている。
他の研究では物理療法を行った群よりも自律でリハビリテーションを行った群のほうが良好な成績を得たとする報告もある。他の研究ではあまり差を認めていない。
今回の研究で興味深いところは、自律のリハビリテーションでより良好な成績を得たことである。その原因として考えられることは(1)術後は患者自身でリハビリを行ったほうが有効なリハビリとなりえるのではないか(2)OTはトラブルにならないように丁寧にリハビリをしすぎているのではないだろうか。ということである。
今回の研究では19%の患者の追跡が行えなかった。治療方針に不満を持っていた可能性がある。EPBの断裂を起こし、抜釘をおこなった患者がいるため成績に大きな差が出た可能性。症例が少なくαエラーの可能性がある。術者がかなり”痛みなしでは得られるものはない”ときついことを言ったことも影響しているのかもしれない。
今回の結果からはリハビリテーションについて術者が正しく介入できればOTの関与は不要であるということである。よりよいコーチングの方法がより良好な臨床成績を得るために必要となるかもしれない。


<論評>
アメリカからの論文です。医療体制が大きく違うので一概には言えないかなあとも思いますが、面白い結果だと感じました。
手術をやりっぱなしでいいよ、リハビリにおまかせでいいよということではなく、より良い機能を回復するためにはどうしたらよいかということを術者自身が患者さんに丁寧に伝えることが必要ですよ。ということが伝えたい論文なのではないかと感じました。
一昔前にはやったビリーズブートキャンプのようにだいぶスパルタでリハビリを進めるのだなあというのはすこしほほえましくも感じました。笑

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