2012年1月4日水曜日

20120104 J spinal disord tech : Shortning osteotomy and sacral fixation for U-shaped Sacral fractures



(この写真はAmerican Journal of Roentogenelogy April 2010 vol. 194 no. 4 1065-1071 より引用しています)

抄録
仙骨のU字型骨折はそれほど多い骨折型ではないが、高所からの墜落のような高エネルギー外傷にてしばしば認められる。この骨折型について治療方法のコンセンサスは得られていない。手術を行うと決定した患者において、除圧をどうするのか、整復方法はどうするのか、固定方法はどうするのかということが問題となってくる。L5/Sの可動性は犠牲にしなければならないと言うことは多くの筆者が述べるところである。
今回この筆者はこの論文で仙骨短縮骨切り術についての手術方法などを明らかにする事を目的としている。
結果、この手術方法は安全でまた単純で効果的であった。
結論として短縮骨切りすることによって固定が用意になり、また腰仙椎部の可動性が確保された。


仙骨横骨折はU-shaped sacral fracturesとも呼ばれる。前仙骨骨折の3‐5%にみられ、高エネルギー外傷(特に墜落)の際によく見られる。
この骨折の分類にはRoy-Camilleらの分類が用いられる。(Transverse fracture of upper sacrum .Sucidal jumper's fractures.Spine 1985)
このような仙骨骨折に対しての手術適応は明らかとなっていない。ただ、除圧を行ったほうが神経学的な予後がよい、とする報告もある。
矢状断での機械的な問題がこの仙骨骨折では問題となる。仙骨骨折の骨接合については様々な方法が有ることが知られている。このような仙骨横骨折では牽引される力が加わるので、腰仙椎固定が必要であると述べているものも居る。またlong fusionを行ったのにもかかわらずインプラントの破損も報告されている。
整復せずに経皮的にペディクルスクリューを入れて固定するという方法も言われているが、この方法では除圧ができない。

解剖学的、生物機能学的背景
S1,2の間で折れることが多く、近位側は脊椎と共に引っ張られ背側に転移し、尾側側の骨片は腹側に残存することが多い。(仙骨-腸骨の強靭な靭帯の影響)

手術の実際
Judetの手術台で伏臥位とする。両下肢の牽引を必要とする場合にもあるのでそのように準備をしておく。正中切開で進入。椎弓切除を行う。
馬尾神経を慎重に剥離。この時点での神経障害の程度を記録しておく。
短縮骨切りを行う。神経を避けながら、左右それぞれから骨切りを行う。神経の可動性の回復、整復が容易になると行った効果が得られる。2枚の普通のロッキングプレートで無いプレートで固定。近医はS1の椎弓根に挿入する。遠位のスクリューは尾側の骨片の中央に置く。
術後6週間のベッド上での安静を必要とする。

<論評>
比較的珍しい骨折に出会う機会が会ったため、勉強を含めて読んで見ました。
この骨折についてディスカッションして挙がった内容を幾つか列挙しておきます。

・保存治療 VS 手術治療のどちらがよいか
神経障害があれば、末梢神経障害扱いになるので、手術治療のほうが望ましいのではないか?転位した仙骨をそのままにしておくと褥瘡のリスクも高くなる可能性あり。

・皮切
正中切開が推奨されていますが、これに骨盤輪骨折を合併しているような場合には腸骨スクリューをもちいて腰仙椎固定を行うこともあるかもしれません。この時大きな皮切では感染などの危険が高くなるのでMISテクニックを用いたほうが良いのかもしれません。

・神経障害
この論文でも少数例ですが術後回復した、ということが述べられていますので、ひょっとしたら改善が認められるかもしれないですね。

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