2012年10月18日木曜日

20121018 JBJS(Am) Plaster our orthopaedic heritage その2

前回のポストの続きになります。


David - Napoleon Bonaparte

ナポレオン1世です。
”世の辞書に不可能の文字はない”と言う言葉で有名です。

この時期、音楽の世界ではベートーベンがナポレオンをモチーフとした”英雄”を作曲しましたし、哲学の分野でもヘーゲルなどの巨人が現れたヨーロッパ文明が花開こうとしていた時期といっても過言ではないでしょう。

整形外科分野でもフランスを中心とした治療の進歩がみられます。
なぜフランスで整形外科治療が進歩し、有名な整形外科医が多数出現したのでしょうか。

これはナポレオン戦争では一説には200万人の命が奪われたとも言われています。多分、それの数倍の傷病者もいたのでしょう。

戦傷外傷患者の増加が整形外科分野の進歩を後押しした事は歴史の事実です。

ということでJBJSのナナメ読みです。

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近代の整形外科治療の基礎をつくった4人の軍医がいる。Dominique Jean Larry, Louis Seutin, Antonius Mathijsen, Nikolal Ivanovich Pirogovである。

Dominique Jean Larryはナポレオン1世のワーテルローの戦いに外科主任として参加している。Larryは歴史上初めて衛生兵を組織し、前線に移動用医療ユニットを持ち込んだことで知られている。1812年のBorodinoの戦いで腕を切断した歩兵に対して固くギプス固定をしたところ創部の治癒が得られたことを報告している。

Louis Seutinはナポレオン戦争時代のベルギーの外科主任出会った。Larryの方法を応用し、切断しを羊毛で固く固定している。創部の形に切ったボール紙にでんぷんを浸し、固定していた。この方法によって2,3日で固定ができるようになり、搬送期間の短縮と入院期間の短縮が可能となった。

同時期のもっとも有名なフランスの外科医としてはAlfred Velpeauがいる。(ベルポー固定のベルポーさんですね。)
ベルポーはSeutinの方法を改良し、数時間で固定が得られるようにしたことでも知られている。

Johann Friedrich Dieffenbachはベルリンの整形外科医である。Seutin、Velpeauの方法をもちいて内反尖足の治療を行った。箱の中で尖足を矯正した肢位で助手が固定する。その箱のなかに石膏を流し込み、その後箱を取り外すと言う方法であった。この方法をGuerinがパリで発展させ、かのLancet誌に投稿し掲載されている。(1832年のことです。日本では11代将軍徳川家斉の時代ですな)

この時代の石膏のギプスはまだ重く、全く身動きのとれないようなシロモノであった。Antonius Mathijsen, Nikolal Ivanovich Pirogovという二人の軍医が現代につながるような石膏ギプス方法を発展させた。
1851年に発表されたMatijsenの方法は2重にした布の間に乾いた石膏を挟み込み、容易にまけるようにしたものだった。この方法が現在のギプス包帯の基礎。となっている。

Pirogovはロシアペテルスブルグの軍陣医学学校の外科教授であった。彼は戦場に初めて女性の看護師を導入したことでも知られている。PirogovはMathjjsenの方法を知っていたものの独自の方法でギプス固定を進化させた。
1837年のクリミア戦争でPirogovの方法はロシア軍全体に導入された。

(ちなみにこのクリミア戦争で有名なのがフローレンス・ナイチンゲールですな。クリミア戦争以降環境衛生の概念が急激に発達しますが、その端緒となったのがナイチンゲールの働きです。

Leopold Ollier(多発性内軟骨腫のOllier病のOllierさんです。)がこれらのギプス固定の有効性を骨膜反応を基盤として体系づけた。

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とギプス治療が一気に進化します。コレによれはギプス治療自体は150年間進歩のない治療といって良いのかもしれませんね。それだけインパクトのある治療であったのでしょう。

まだまだ続きます。


20121018 JBJS(Am) Plaster our orthopaedic heritage AAOS Exhibit selection

ギプスの歴史


JBJS(Am)にギプスの歴史が述べられていました。
温故知新。ということですこしこういったところに話をふるのも良いかと思ってまとめてみました。


紀元前3000年~2500年ごろにはヤシの木の枝と葉の繊維で作った包帯で大腿骨骨折を固定し、ギプスのような治療法(いわゆる外固定)はエジプトのミイラに巻かれているものが発見されている。

紀元前600年ごろ、竹の副子による外固定法が行われていた、と古代インド二大古典医学書の一つである「シュシュルタ」に記載されている。
(シュシュルタが外科の教科書。チャラカが内科の教科書。これマメな。)

紀元前460‐377年 ヒポクラテスは骨折治療における添え木と包帯法の重要性を認めていた。この包帯は厚く、また油脂を染みこませることで強度を得ていた。

古代ローマ人は石材、石膏の建築物を多数構築したことで有名であるが、その石膏の知識を医学に応用することはなかった。古代ギリシャの医学者、哲学者であるCelsus、Galenらもバンテージ法による骨折治療を行なっていたという記載がある。

初めて石膏をギプスとして用いたのは、9世紀のアラビアの外科医Avicenna(アバボウエブンシナ)であった。”Canon of medicine”の中で貝殻からの酸化カルシウムと卵白を用いて固定を行ったという記載を見ることができる。
石膏法は12世紀になってイタリアにわたり進化した。骨接ぎ師がぐるぐる巻きにする治療を行なっていた。
同時期11世紀のアラビアではAlbuusasis(当時のアラビアのもっとも有名な臨床医)がサンドイッチ法によるギプス固定を行なっている。

14世紀になりGuy de Chauliac(1300-1370)が牽引と固定を初めて行った。コードと細い棒を用い、ゆりかごを用いて鉗子を挙上し、コードを用いて牽引することでベッド上で患者が動けるようにした。

中世ヨーロッパでは徒弟制で骨接ぎ師がこれらの知識を受け継いでいった。骨接ぎ師のギルドは医師のギルドと異なるものであった。最終的に医学校ができ、そのカリキュラムの中で骨折治療が教授されるようになると骨接ぎ師のギルドは徐々に衰退していった。

硫酸カルシウムは1798年に発見された。現在のような系統だった石膏ギプス固定法は1852年にオランダで開発された。(Dr. Mathijisen 1805-1878)


と続きます。笑

2012年10月12日金曜日

20121012 JBJS(Am) Prognostic factors for predicting outcomes after intramedullary nailing of the tibia

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長官骨骨折後の予後不良因子を予測することは患者の治療に当たる上で重要である。今回北米での前向き研究(Study to prospectively evaluate reamed intramedullary nails in patient with tibial fractures(SPRINT))を持って多施設での研究を行い、1226例の症例について検討を行った。

方法
ロジスティック回帰分析を用いて手術に関連する要素を解析してみた。

結果
高エネルギー外傷(OR=1.57)、ステンレス製の髄内釘の使用(OR=1.52)、骨折部のギャップの存在(OR=2.40)、術後の全荷重(OR=1.63)が骨癒合に不利な因子として明らかになった。
これにたいしてNSAIDSの使用、手術のタイミング、喫煙状況は独立した危険因子とはならなかった。
開放骨折は骨癒合遅延の予後不良因子の一つである。リーミングしてから髄内釘を入れた場合にはOR=3.26、ノンリーミングではOR=1.50であった。
開放骨折の患者で何かしらの軟部組織再建を加えた場合と、加えない場合では加えない場合の方が骨癒合遅延の危険性が低下した。

結論
脛骨骨幹部骨折に関わる危険因子について大規模な解析をおこなった。これらの要素について前もって患者に伝えておくことが重要である。

考察
脛骨骨幹部骨折ので再手術率は12%から44%までにのぼるとの報告がある。この問題に対処するために今回大規模な多施設共同前向き研究を行なってみた。高エネルギー外傷、ステンレス製の髄内釘の使用、骨折部のギャップの存在、術後荷重状況、開放骨折に対してリーミングして髄内釘を挿入することが危険因子として挙げられた。開放骨折に対する軟部組織再建については複雑な再建術を行うばあいよりも行わない場合の方が危険率が低下するということがわかった。その他の要因については危険因子となりえなかった。

開放骨折の場合にリーミングを行うか、ノンリーミングで行くか、ということは今までも議論されてきた。リーミングを行ったほうが骨癒合遅延が起こる、というのは筆者らの以前の研究でも報告してきた。
Randomized trial of reamed and unreamed intramedullary nailing of tibial shaft fractures. Study to Prospectively Evaluate Reamed Intramedullary Nails in Patients with Tibial Fractures Investigators, Bhandari M, Guyatt G, Tornetta P 3rd, Schemitsch EH, Swiontkowski M, Sanders D, Walter SD. J Bone Joint Surg Am.  2008 Dec;90(  12):2567-78.[CrossRef]
ちなみに有意な差はないとこの時には報告している。)

この他にもネイル径、骨欠損の程度、ネイルの製造メーカーについて検討したがいずれも独立した危険因子とは成り得なかった。

骨折部のギャップは1センチをしきい値として本研究では設定した。1センチのギャップで明らかに骨癒合遅延の危険性がました。

術後に全荷重も重要な因子であることがわかった。これは術後全荷重にしてよいと考える多くの術者の考えとは真っ向から対立する。荷重によって自然なダイネミゼーションがかかるのだが、疼痛、スクリューの破損などの危険もあり、脛骨の骨幹部骨折の髄内釘ではまずは荷重はホドホドにしておいたほうが良いのかもしれない。

喫煙は予想に反して危険因子とは成り得なかった。しかしながら有害であるということがわかっているため、禁煙は推奨した方がよい。

この研究の限界はアルコール使用、ステロイド、肥満などに搗いての調査が行えなかったことである。また比較的若年者を対象としているので高齢者が多くなるとまた変わってくるであろう。
しかしながらこれだけのサンプルサイズで行った研究がないことからこの研究結果は有用であるとかんがえられる。

<論評>
さすが北米。というような報告です。
臨床でもこれだけの多施設でまとまった研究ができるというのは素晴らしいことだなあと感じ入りました。
優れたコーディネーターの存在、データをまとめる人間がいることなどさまざまな要因が考えられます。日本では日常の雑務が多すぎて難しいでしょうね。。

結果についてはいままでの論文とやや違っているところも拝見されます。
リーミングした方が良いのでは?とおもっていましたが、今回は逆の結果となりました。
また喫煙も危険因子になるだろうと思っていましたがならなかったですね。

荷重については今ひとつよくわからなかったので、原文を読まれた方はコメントいただければと存じます。

また考察にも書いてありましたが、比較的若年対象ですので、日本のように高齢者が多いところで同じ話が通じるわけではない。というのは注意が必要でしょう。



2012年10月11日木曜日

最近買った本の紹介

学会会場にいっての楽しみの1つは、学会場に出店している本屋さんを覗くことです。
 普段A◯azonさんでほとんどの買い物を済ましてしまっていますが、このような思いもかけない様な本と出会うことは実際の本屋さんならではです。

何冊か購入して参りました。

そのうちから一冊、初期整形外科研修医から整形外科専門医程度を対象にしたおもしろい本を。

 

 理学療法士向けの本ですが、普段から外来でよくみられる疾患(外反母趾や撓骨遠位端骨折)についての臨床解剖学について書かれています。 

知っているつもりの疾患の再確認と、外来で患者さんから”こういう時、どうしたらいいんですか?”とか”ウチでやれるりはびりって何がありますか”と聞かれた時にお答えするための引き出しが増える感じがする本でした。

 外反母趾は僕自身系統だって学んだ記憶がないのですが、種子骨の役割からそれに基づいた具体的なリハビリ方法まで書かれていて驚きました。

 本屋さんで見かけたら是非一度中身をみていただきたいと存じます。

2012年10月10日水曜日

20121010 JBJS(Am) Outcome after sequential hip fracture in elderly

抄録

大腿骨頚部/転子部骨折(以下大腿骨近位部骨折)は高齢者の機能障害、死亡原因の一つとなりうる。片側の骨折をきたしたあとにも体側の骨折のリスクが存在する。本研究の目的は高齢者の近位部骨折の両側例について発生率、疫学、予後について調査することである

方法
スコットランドの急性期病院で1998年から2005年までのデータを収集。2つの時期に分けて分析を行った。片側の骨折をおこしてから2年間は20日間隔にフォロー。その後は半年間ずつフォローを8年間継続した。

結果
反対側の骨折を起こす割合は片側の骨折を起こしてから最初の12ヶ月に最も高かった。3%の患者に起こり、その後2%ずつ減じた。反対側骨折をおこした場合の1年生存率は、片側だけの骨折の場合には68%であるのに対し、63%と有意に低下していた。反対側の骨折は死亡率の増加、居住場所の変化に影響する独立した因子として存在した。

結論
片側の大腿骨近位部骨折後に反対側の大腿骨近位部骨折をきたすのは比較的珍しい病態であることがわかった。反対側の大腿骨近位部骨折を起こすと生命予後、機能に悪影響を与えることがわかった。

考察
骨粗鬆症、転倒は大きな健康、社会問題の一つである。近年65歳以上の3分の1が、80歳以上では2分の1が1年の間に一回は転倒しているというのがわかっている。転倒した患者の10%から15%が骨折にいたる、ということがわかっている。
骨脆弱性骨折の既往は骨粗鬆症、続発する骨脆弱性骨折の危険因子であるということは知られている。そしてそのような患者に対しての介入が必要であることが公衆衛生学的見地より言われている。
骨塩量の低下、高齢、骨脆弱性骨折の既往、機能障害、視力低下、睡眠導入剤の使用はそれぞれ独立した大腿骨近位部骨折のリスクであると言われている。いずれも介入することが難しく、できることは片側の大腿骨近位部骨折をきたした患者に対して介入することであると筆者らは考えた。
本研究では反対側の骨折を起こす割合は3%と低かった。今までの報告では2%から10%と報告されていたからこの結果は驚きである。
片側の骨折後1年以内に反対側を骨折するというのは従来の報告通りであった。
反対側の大腿骨近位部骨折をきたした症例では1年生存率が片側だけの群よりも有意に低くなっていた。
大腿骨近位部骨折では術後の機能障害も問題となる。術後120日での患者の居住場所について調べたところ片側のみ、反対側まで骨折した群で差は認められなかった。
もともと54%の患者が自立した生活を送れていたものの、大腿骨近位部骨折を減ることでその割合は14%減少した。反対側を骨折するような患者では、片側を手術して反対側を手術するまでの間は21%しか自立した歩行ができず、術後はわずか6%が自立歩行を回復した。
最近の研究で反対側まで予防的に骨接合する。と言う方法を行ったものがある。これは発生率からするとやり過ぎではないかと考えられる。

<論評>
片側の大腿骨近位部骨折をきたした患者で反対側の骨折をどれくらいきたすか、という研究です。
かくいうブログ主も一度調べたことがありまして、その時には7%でありました。
三重で同じような論文を英語でだしていらっしゃる先生がいて、同じような割合であったような気がいたします。(今回の中部整災でも同じようなネタがあった気が。)

日本でコレを調べようとすると、よその片側はA病院、反対側をB病院で、ということがしばしばあるためにその発生率がどれくらいになるのか、と言うのがわからないことが多かったです。
本研究は20000人のフォローということで、JBJSにのる価値のある論文やなあと感心して読んでおりました。

大規模になりましたので細かい因子分析などは行えておりませんがこれは仕方ないでしょう。

術後にどう介入するか、が今後の課題。ということになります。
大腿骨近位部骨折の患者で、同意が得られる患者であれば反対側骨折予防のためにて◯ぼんなどの投与も考慮してよいのではないでしょうか。
nは150くらい必要、ですな。。。。。


2012年10月4日木曜日

20121004 JBJS(Am) Early initiation of BP does NOT affect healing and outcome of volar plate fixation of osteoporotic distal radial Fx.

Typical 'Colles fracture', distal radial metaphysis, wrist, XR

 抄録

ビスフォスフォネート製剤は破骨細胞の骨吸収を抑制するため骨折の治癒機転に悪影響を与えると考えられている。しかしながら撓骨遠位端骨折後の患者で投与された場合にビスフォスフォネート製剤の悪影響があるかどうかは不明である。本研究の目的は掌側ロッキングプレートにて固定された撓骨遠位端骨折の患者にビスフォスフォネートが治癒、臨床機能に影響をおよぼすかどうかを調べることである。

方法
50人の骨粗鬆症と診断された50歳以上の女性。術後早期からビスフォスフォネート製剤を飲む第1群と3ヶ月後から飲む第2群の2群に分けた。レントゲン写真で骨癒合判定を行い、24週の時点でDASHスコア、握力を用いて機能判定を行った。
またレントゲン写真での変化も調査した。

結果
2群でレントゲン写真、機能に差は出なかった。すべての患者で骨癒合が得られた。骨癒合の期間はよく似ていた。骨癒合までの期間は骨粗鬆症の程度、骨折系と関連がなかった。

結論
術後早期からのビスフォスフォネート製剤の投与は撓骨遠位端骨折術後の骨折治癒に影響を与えない。

考察
今まで術後早期にビスフォスフォネート製剤を投与することが撓骨遠位端骨折に対して影響を与えるかどうかということは知られて居なかった。本研究によって撓骨遠位端骨折術後の患者でビスフォスフォネート製剤は骨折の治癒、機能に影響を与えないことがわかった。このことによって術後早期からの骨粗鬆症治療が可能となる。
幾つかの動物実験でビスフォスフォネートが骨折の治癒を遅らせるとする報告がある。
反対にビスフォスフォネート製剤にて骨折治癒が促進したとする報告も散見される。
骨密度が低いと骨折型が重篤になるとする報告もあるが、今回は関連が認められなかった。
本研究の幾つかの問題点として、骨癒合についての検者間信頼が低い。治療者がブラインドでないこと、アレンドロネートのみで治療を行なっていること、治療期間が短いこと、さまざまな除外基準を作ったため比較的健康な女性のみが対象となっていることがあげられる。

<論評>
骨折治療だけでなく、骨折の予防治療を行うことが現在の整形外科医には求められています。
骨折の予防のためには骨粗鬆症と診断し、的確に介入することが必要です。
骨粗鬆症と診断するのに比較的容易な方法としては”患者が脆弱性骨折の既往があること”ということがまず含まれている場合ではないでしょうか。
また、脆弱性骨折としては撓骨遠位端骨折、大腿骨頚部骨折、脊椎圧迫骨折、上腕骨近位端骨折などがあげられると思います。この中で最も若年に発症し、頻度が高いのが撓骨遠位端骨折です。
ですので、撓骨遠位端骨折を受傷した患者さんに対してBMDを測定もしくはFRAXによる判定を行い、骨粗鬆症であれば二次予防としてビスフォスフォネート製剤の投与を行うというのは臨床のプラクティスとして当然考えられるところであります。
ただ、外傷を取り扱う人間からして、高癒合に影響があるかもと考えると二の足をふむのもまた事実ですので、このような研究によって”差がないよ”といっていただくことで積極的に治療介入できるのではないかと思います。

ただし、骨粗鬆症治療の最終目標は生命予後、健康寿命の延伸です。撓骨遠位端骨折の患者で介入を開始してホントに生命予後、健康寿命が延伸するのかどうかという報告は学会発表でしかなかったような気がします。(不勉強であれば申し訳ありません)
ビスフォスフォネート製剤の長期投与での非定型骨折の危険性も併せて、どのタイミングで治療を開始するのか?というのはまた別の問題として考えられなければならないですねええ。。