2013年10月21日月曜日

20131021 J Arthroplasty Sexual activity after Total hip arthroplasty: A motion capture study


THA術後に性生活を営む際に脱臼や関節の不安定性がどのようになっているかという研究は今まで報告されたことはない。特に体位と股関節可動域との報告は今までになかった。二人のボランティアに12種類の体位をとってもらってそれをモーションキャプチャーにて撮影。その上で股関節の可動域を計算。カップの設置位置の影響を考慮して9パターンのカップの設置位置を想定して計算を行った。12体位中4体位で女性側の股関節の屈曲が95度以上となり、9パターン中6パターンでのカップでのインピンジメントにつながった。前方の不安定性と関連した骨性の衝突が男性側の体位で1種類だけ出現した。本研究からTHA後の女性にとってある体位は脱臼、破損のリスクを高めることが明らかとなった。

変形性股関節症に伴う股関節痛が性行為を困難にすることが知られている。またTHA術後には性生活の満足度の向上、パフォーマンスの向上がみられることが知られている。ただし、THA術後に性行為を行った場合の危険性についての報告は未だない。
以前に行われた研究は患者、または術者が術前後の性行為の困難さ、性行為にいつから復帰するのか、安全な体位はなにかと言うことをアンケートによって回収したものであった。これらの報告では性行為中にTHAが脱臼した症例の報告や脱臼を心配して性行為に及ばない症例も有ることがあきらかとなった。DahmらはTHA後の安全な体位について推奨を出しているもののその推奨は筆者の個人的な考えであり、客観的なデータに基づいたものではない。
近年コンピュータシミュレーションによりTHAのコンポーネントの設置、インピンジメントなどを容易に予測できるようになった。しかしながらこれらのデータは単純な屈曲伸展のみで性行為中のデータまでを反映したものはない。どの体位がどの程度の股関節の可動域が必要かということは現在までに明らかとなっていない。
本研究の目的は実際にいくつかの体位をとることでその体位での股関節の可動域をモーションキャプチャーにて測定し、股関節のインピンジメント、不安定性が生じていないかをin-vivoで明らかにすることである。

対象と方法
二人の健康なボランティア。女性1名(31歳、180センチ69kg)、男性1名(26歳、180センチ80kg)。若年の男女を選定したのは、THA術後に若年の方が性行為に対して積極的であること、どの体位が危険かわからないためモーションキャプチャーを行う際に起こるトラブルを防止するために行った。
まずMRIにて股関節の形態について評価を行った。これは被曝を避けるためである。放射線科の専門医によって股関節の形態評価が行われた。
MRI撮像後にモーションキャプチャーの部屋に移動し、解剖学的指標にマーカーを装着。12種類のよく行われる体位をとってもらった。
この12種類の体位はLafosseDahmらが認定したものである。モーションキャプチャーは3回測定。図2はマーカーにそってMRIから抽出した3Dの骨を合わせたものである。
関節中心をコンピューターで調節した。

THAのシュミレーション
THAを受ける患者の股関節のCTCADにしてシュミレーションでカップを挿入。外方開角40,45,60度にぞれぞれ前方開角0,15,30度と設定してモーションキャプチャーで得られた股関節の角度を入力。
Fig4のようにネックとカップがインピンジすると赤くなる。こうすることで関節の不安定性、脱臼の危険性を表すことができる。

結果は表がいっぱい有りますが図6を参照。

考察
今までTHA後の性生活についての報告は全くなかったが、本研究は客観的なデータを用いた初めての報告である。本研究はin-vivoで行われた研究で、12種類の一般的な体位の股関節の可動域を測定した初めての報告である。臼蓋側コンポーネントにネックがインピンジすることが脱臼のリスクとなるが、女性側で4種類の体位が危険であることがわかった。男性側では股関節の伸展、外旋、内旋をとることで大転子の骨性の衝突がおこり脱臼のリスクが高くなることがわかった。これは男性側が恥骨をぶつけようとして股関節をむやみに伸展させすぎたことが考えられる。
Dahmらの研究では男性では5つの体位が、女性では3つの体位が許容されるとしており、Lafosseらは女性側があまり動かなくても良いようにしたほうがよく、男性側はそれほど気にしなくてもよいということを述べている。
本研究はそれらの結果を支持するものであった。
本研究の限界は参加者数が少ないこと、3Dデータの正確性がMRIの竹にやや劣ること、軟部組織の評価を行っていないことである。

まとめるとあらゆる体位は女性の方が過度な屈曲、外転、外旋といった股関節の可動域を必要とし、男性は股関節の伸展、外旋といった動きだけであった。THAの脱臼のリスクは女性の方に多く、このデータを患者さんに提供することが必要ではないかと考える。

2013年10月19日土曜日

20131018 日本整形外科基礎学会参加してまいりました。

行ってきました。日本整形外科基礎学会。
ちなみに日整会基礎に参加するのは初めてでありました。感想はとにかく楽しい。
知的な好奇心が刺激される感じがたまりません。

当日は午前中の手術を終えてからの出発となったため初日の参加はポスター発表のみ。
初日の午前中に現在研究中のテーマに近いものがあったため参加したかったのですが、しかたありません。

ポスター発表。
ERAO後の大腿骨頭の有限要素解析。
本来うちのチームがやるべき仕事だと思うのですが、先をこされてしまいました。
最適な作図とは?
大腿骨頭にかかる応力が最小となり同時にインピンジメントしないことだと考えます。
今回は大腿骨頭側の有限要素解析をしていただきました。
次回への課題は1,臼蓋側の有限要素解析を行う。
2,3Dシュミレーターでインピンジメントがおこらない臼蓋の回転方法を探ること
と考えました。

軟部の問題も有ると思いますのでCT、MRI combind シュミレーターがあってもよいなあと思いました。

本日ナビを使った骨切り術についての講演を拝聴いたしました。
精度高く切れている印象を受けました。
ただ時間がものすごくかかるのではないかという危惧も同時にいだきました。
もっと容易にやれるようになると良いですよね。

股関節手術のナビゲーションもうちにはない器械なので羨ましく拝見しておりました。
特に臼蓋の深さがわかるのはよいと思います。
もっとも良いと思ったのは脚長差の調整ができることですね。即買いでの手術では脚長の補正は困難なのでナビ無しの手術より圧倒的に勝っている点だと考えます。

コンピュータ支援手術が今後どう変わっていくのか。
アメリカではロボット支援手術というのがあって、ナビで切る方向にしか進んでいかないようにロボットで術者をコントロールできるというお話も有りましたが、だいぶ遠い未来のような気がします。

痛みのセッションも面白く拝聴致しました。
痛みとはなんぞや?
心理社会的側面、分子生物学的側面。姿勢を座位と立位で腰椎のアライメントの変化を追ってみたりと様々な側面からの痛みの捉え方を知ることができたのは知識の整理に役立ちました。
股関節の疼痛についてはまだわかっていないことが多いこともよくわかりました。
手術してもなぜ痛いのか。人工関節をいれるとあんなに劇的に痛みが撮れるのはどうしてなのか。
まだまだわかっていないことはたくさんあります。

日々勉強。日々精進しようと強く思わせてくれる二日間でした。







2013年10月6日日曜日

イントロ折り紙

僕のブログでもご紹介させていただいた酒井聡樹先生の

”これから論文を書く若者のために”

のもとになったブログです

http://www7b.biglobe.ne.jp/~satoki/ronbun/kyo/origami/orihon.html

イントロの書き方は酒井先生の”イントロ折り紙”が一番優秀ではないかと感じています。
実際の本文は酒井先生の本を購入してからお読みください。
下のmemoは自分用ですので意味がわからなくてもご容赦を。

1,まず何を調べたかを書く。
2,どういう現象をみて
3,なぜその現象が問題なのか
4,どういう着眼で

その後2,3,4,1または3,2,4,1の順に並べると。

本を読んでいない人にはわからないですね。。苦笑。