2013年3月24日日曜日

20130324 日本医学英語教育学会 トレーニングセミナー 知っておきたい英語論文執筆のコツ

表題のとおりでございます。
日本医学英語教育学会が主催なさっているトレーニングセミナーに参加して参りました。

知っておきたい英語論文執筆のコツなんていわれたらまだ英語論文を書いたことのない私からしたら、このセミナーを聞けば書けるようになるんじゃないかと考えたわけです。

セミナーは朝9時から4時まで全て英語。
このセミナーを聞けば魔法のように英語論文がかけるようになるわけではありませんが、それでもハードルは少し低くなったような気がします。

いくつか覚書程度に。

Title
英語論文に限らずまずはタイトル。タイトル。タイトル。
忙しいレビュアー、エディターを読もうとする気にさせるタイトルを付ける。
タイトルは3文字以上の単語はすべて最初は大文字にする。(スイマセン、こんなことも知らないくらいに初心者でした。)

例:× How to write medical papers in English
    ◯ How to Write Medical Papers in English

タイトルは文章にせず句とする。
不要な語句はさける

Abstract
Abstractのみで完結すること。

論文の実際の書き方
まずMethods,Resultsから書き始める。
そのあとIntroduction、最後にDiscussion.
Introductionは”Three Paragragh approach”が有効
-まず現在どこまでわかっているかを書く
-次に議論となっている内容について記載する。
-この研究を行うことでその議論となっている内容がどのように改善、解決されるかを記載する

Discussion 3+nパラグラフ法
−最初のパラグラフ
今回の研究によって得られた結果について記載する
−n個のパラグラフ
今回の研究の結果と今まで既存の研究との比較を一つづつ行う。
−その次のパラグラフ
今回の研究の限界について述べる
−結論と今後の研究の見通しについて述べる。

文章を書くときにはコロン、セミコロンの使い分け、スペースの使い方などのdetailに注意を払うこと。
主語が何より大事で、名詞よりも動詞を積極的に使ったほうが良い。

reviewerをいかに味方にするか。
忙しい中わざわざ時間をつかって論文をbrush upしてくれていることに感謝すること。

という感じでなかなか中身の濃いセミナーでした。

学生の頃に聞いていたらなあ。笑

2013年3月22日金曜日

20130322 BJJ When can I drive?

患者さんから時々聞かれることの一つに、下肢の術後に”いつからクルマの運転ができますか?”と言うものがある。
この問に答えることは難しく、ガイドラインも策定されていない。このレビューは患者が自動車の運転に復帰するまでの因子について検討を行ったものである。
Medline、Web of scinece、EMBASEを用いて”braking reaction time””brake reaction time””brake response time””braking force””braking pedal force””resume driving””rate of application of force””driving after injury””joint replacement and driving””fracture and driving”で検索を行った。
文献を詳細に検討した結果ブレーキの時間、ブレーキの反応スピードをアウトカムとして採用していることが多かった。
復帰までの時間は手術、疾患によって様々であった。
各種公的機関が様々な意見を述べている。
どの程度回復すればクルマの運転が可能となるかということは不明である。ガイドラインが策定されていないために不必要に車の運転を避けたり、まだ不十分な回復しかしていないのにクルマの運転を行なっている可能性がある。

考察
クルマの運転をいつから許可するかと言うのは古くからある問題である。多くの報告がブレーキをしてからの反応し観をアウトカムとして計測していた。しかしながら反応しても痛みのためにしっかり踏み込めないことも考えられるので、ブレーキを踏みつける力の測定も重要なのかもしれない。実際に研究でも疼痛があり、可動域制限がある間には患者がクルマに乗ることを避けていたという事実がある。
ガイドラインの必要性については以前から指摘されているが、今までに定まったガイドラインはない。外傷外科に関わる外科医の68%がいつ運転していいかという質問にこたえることが難しいと感じており、44%の外科医が訴訟に至る可能性について心配していた。現在までに術後に運転して自動車事故を起こしてそれが担当医のせいであるとする訴訟はイギリス国内では確認されていない。
保険会社からは骨折をして運転した場合にどうなるかということは明らかとされていない。医師の許可がでたら運転して良いというのが一般的な見解のようであるが基準があるわけではない。
オランダでは79%の整形外科医がガイドラインの策定を求めているが未だに策定されていない。アメリカではChenらが一つの施設内で基準を作成している。
ACL再建後の報告のように、10秒間で箱から箱へ緊急に足を移すことができる。といった客観的な指標にもとづいて今後は復帰の可否をきめると良いものと思われる。

<論評>
以前、THA術後の患者さんに『先生、クルマはいつから乗っていいんですか?』と聞かれて、『急ブレーキを自信を持って踏めればよいよ』とさらっと答えておきましたが、実際そのようですね。笑
日本語の文献をgoogle scolarで検索しましたがクルマの運転についてと整形外科外傷についての報告はないようです。
まずは実際にどの程度の人がそのタイミングから運転しているかの基礎調査が必要そうですね。
保険会社、役所がまったく返答をしなかったと言う報告もまた笑えました。世界中余り変わらないのかもしれません。笑

2013年3月4日月曜日

20130304 BJJ The effect of age and gender on the diameter of the femoral canal in patients who undergo total hip arthroplasty

<抄録>
年々若年でTHAを受ける患者が増えてきているが、患者の年齢と大腿骨髄腔の直径とが関連してきている。本研究の目的はTHAを受けた患者について年齢と大腿骨髄腔の直径との関連を大規模調査にて明らかにすることである。1685例のTHAを受けた患者のレントゲン写真を評価、736人の男性、949人の女性。平均年齢は67.1歳と70.2歳であった。平均の大腿骨髄腔の直径は男性で13.3ミリ、女性で12.7ミリであった。男性では年齢と大腿骨髄腔の直径との関連はなかったが、女性では年齢を重ねるにつれて大腿骨髄腔の直径が大きくなる傾向にあった。
大腿骨髄腔の直径はTHAを受けた患者で40歳から80歳までの間で3.2ミリ増えることが予想された。これに対して男性では0.6ミリにとどまると予想された。大腿骨髄腔の直径が大きくなることで大腿骨側インプラントの安定性に何かしらの影響を与えるのではないかと考えられた。

<考察>
大腿骨髄腔の直径と年齢との間に関連があること、そして年齢による平均髄腔の直径を予想することができることを本研究で明らかにした。
本研究は横断研究であり、前向きの追跡研究ではないが、患者ごとの30年間のデータは存在しない。本研究のもう一つの問題は白人を対象とした研究であり、アジア人、中東の人種を対象としていない。アジア人と白人との間では大腿骨の形状に差があるとする報告がある。またその髄腔は2から3ミリ小さいとする報告がある。THAを受けた女性の大腿骨の髄腔が大きくなるということはすでに日本からの報告がある。
cadaverによる研究(80例)で同様の大腿骨髄腔の太さを測定した研究もあるが、あまりにも多様性が多く、誤差が大きかった。
本研究で言えることは高齢女性では年齢と相関して大腿骨が太くなるということで、その程度は年間0.6ミリ程度であろうということである
今後若年者にたいしておこなわれたTHAの評価が必要となるであろう。

<論評>
確かに年寄りの髄腔は太いですね。あくまでも横断研究ですけど、それをたくさんの数で行うことで縦に追って行ったのとほぼ同じ意味を持たせているところがすごいです。
こういうのを読むとオーダーメイド人工関節というのも年齢の変化を考えなければならないのかと考えて余計に難しくなりますね。