2016年5月16日月曜日

20160516 CORR Does Previous Pelvic Osteotomy Compromise the Results of Periacetabular Osteotomy Surgery?

股関節温存手術後の失敗例に対するPAOの成績を出した論文です。
当然、Primaryよりは悪い。ということです。それ以上読む必要はありません。
本論文のトピックスは、アメリカでは骨切りの多施設共同レジストリーをすでに走らせているということです。
日本ではアメリカの数倍に渡る骨切り術が行なわれていますが、多施設で動こうという話はついぞ聞いたことがありません。今ならまだアメリカに勝てると思うのですが。。。。

英語が英語が母国語のひとが書いたとは思えないほどの酷さでした。


  • はじめに
  • PAOは後方要素を保ちながら大腿骨頭の被覆を改善することができる手技として行なわれる手技である。DDHに対する治療方法として、PAOは76%から89%の成功率であるとする多数の報告がある。しかしながら多くの報告があるものの、その術前に何かしらの手術が行なわれていた場合にその治療成績がどうなるかは不明である。
  • PAOの術前に臼蓋または大腿骨の骨切りが行なわれていた場合の治療成績はいくつかのケースシリーズで報告されている。しかし、それらがどれほどPAOの治療成績に影響を与えたかは不明である。
  • 本研究ではマルチセンターの成績として、次術前に何かしらの矯正手術を受けていた場合のPAOの臨床成績について報告することを目的とした。
  • 臨床成績、QOL、レントゲンでの治療程度、合併症について術前に何かしらの手術が行なわれていた群と手術が行なわれていなかった群での比較を行った。
  • 対象と方法
  • ANCHOR(骨頭温存臨床成績リサーチグループ)の患者を対象とした。11の施設のうち、7つの施設で39例39関節の患者が抽出された。2008年から2012年までの間で34症例34関節。平均2.5年でフォローが可能であった。
  • 術前に治療を受けていない78例の患者をマッチングした。78関節のうち71関節のフォローが可能であった。10関節が「いわゆるDDHではない」として除外された。
  • 大腿骨近位骨きり術が12例30%、股関節鏡が5関節12%、骨軟骨形成術が1例2%。男性4例、女性35例。平均年齢19歳。
  • PAOを行ったANCHORに登録されたデータベースから同時期に手術が行われた253例を抽出。年齢、性別を一致させて1:2で症例を抽出した。
  • 以前の手術の既往があってもリハビリに変更は加えなかった。
  • 臨床評価を取得し、AC角、CE角、Sharp角を測定した。TonnisGradeもチェックした。
  • PROとしてはUCLA,SF12、HOOSを測定した。HOOSは手術経験の有無にかかわらず使うことができる。
  • 除外されたのはCharcot-Marie-tooth,脳性まひ、大腿の短縮、ぺるてす様変形であった。
  • 2群で比較するとCE角が既術群で大きかった。
  • 以前の手術のために関節可動域が小さくなっており、PAOの本来の適応でない患者もいた。
  • 術後合併症についてはSinkらのあClaviden-DIngo分類を用いた。
  • 結果
  • 表4を参照。痛み、ADL、レクリエーションへの参加のいずれの項目においてもPrimaryPAOに比べて既術群では改善に乏しかった。
  • 表5mHHS、UCLAスコア、SF12のすべてで有意差はないものの既術群のほうが改善が乏しかった。
  • 表3術後レントゲン評価でもAC角、Sharp角では2群で差を認めた。
  • 既術群では2例が早期にTHAに移行した。合併症は表7で2群に有意差はなかった。
  • 考察
  • PAOは症状のある臼蓋形成不全に対して有効な治療方法である。DeLaRochaらが以前に既術例でのPAOについての報告をしている。その報告では股関節の屈曲がPrimaryPAO群よりも悪化したと報告している。Czubakは以前に骨きりをしている患者では痛みの改善が得られるとし、Mayoらはレントゲン上、HHSもほぼ同様の成績が得られる。と報告している。本研究では臨床成績評価、合併症の発生率、レントゲン評価を行った。本研究でわかったことはPAOは既術群でも安全に行えるが、その臨床成績の改善は乏しいということである。
  • 本研究のLimitationは後ろ向き研究であるということ、第2に術者によって手術適応が異なり、リハビリのプロトコールが異なるということである。それでも多施設からのデータを収集していることが強みである。第3にレントゲンの測定の困難さがあるが、本研究では10年以上の経験のあるリサーチアシスタントを採用した。また第4にフォローアップ期間が短いことがあげられる。フォロー期間は短いが、手術はうまくいっているので急に再置換ということはないものと考えられる。
  • AC角の改善がいまひとつであったが、これはスミスピーターソンの前方アプローチを使っていないせいかもしれない。。
  • 合併症率は7%と他の研究よりも高かかった。しかしながらコントロール群では合併症を生じていなかった。これおはPAOのやり直しが難しいということを示している。
  • 本研究では既術例に対するPAOは予定通りに行きにくいということを示した。

0 件のコメント:

コメントを投稿