2016年5月19日木曜日

本の紹介 『THE 整形内科』 白石吉彦先生編


THE 整形内科
 日本整形外科学会 売れ行きNo.1 ということで買ってまいりました。
まず、この表紙の与えるインパクト。南山堂さんの編集さんの有能さが伺えます。

 さて、以下感想です。
 買うべき度 ★★☆☆☆

買ったほうが良い人:
・へき地で整形外科診療を余儀なくされる総合診療系の先生。
・開業されている整形外科の先生。今まで病院の外来では得られなかったスパイスをお求めの先生。

小生が全体にオススメしないのは、内容の偏りが大きすぎるからです。
約10年前に、『整形外科プライマリーケアハンドブック』という書籍が販売されておりました。(現在は取り扱いがないようです。)
前半が骨折の保存療法。後半がAKA博田法についての記載でした。
骨折の保存療法については、石黒先生を中心に読むべきところの多い本でありましたが、腰痛の治療法は、AKA、を学べとなっており、どうなのか?と感じた記憶があります。
AKA博田法は腰痛の治療法の一つでありますが、全てではありません。
しかし、プライマリーケアハンドブックではこれが全てのように書かれてしまっていたことが非常に残念でした。

さて、本書『整形内科』でありますが、このAKA博田法を全て『エコー』『筋膜リリース』と置き換えている内容になります。
エコー、筋膜リリースは有効な方法ですが、全てではありません。

また、書いてある内容のエビデンスに乏しいのが問題です。自分の診療の良い、悪いがわかっていない若い先生がこの本に書いてある内容を鵜呑みにして実臨床を行うのは危険だと考えます。
(股関節を取り扱う人間として骨盤疾患で股関節の病気ではなく仙腸関節の病気が書いてあるのがどうかと思いましたし、また骨粗鬆症でいきなりテリパラチドをオススメするのはどうでしょうか?あと、介護者負担を減らすために社会的入院をすすめるというのは地域特異性の問題であって、一般に勧めるのはいかがなものかと。)

この本の良い所はエコーの可能性と、鍼灸の先生たちとの連携について書かれているところです。
エコーは今後整形外科診療で広がっていくのは間違いないでしょうし、整形外科医が取り扱えきれない痛みに対処していただくために鍼灸の先生との連携は必要ですので、そこに着目されているのは流石だと思いました。

やや斜にかまえて読んでいただくと良いかとおもいます。以上。







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